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伊与原新『宙わたる教室』彼女の読書の感想2

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こんにちは、イエロートマトです。今年も花粉にやられながらこのブログを書いています。皆様は花粉にやられてはおりませんか。何卒ご安全にお過ごしください。
引き続きポツポツと彼女の読書の感想を上げていこうと思います。

それほど詳しくもありませんが、本企画の意図や流れは前回の記事をご参照ください。

soft.hatenablog.jp

それでは2冊目です。

宙わたる教室

①あらすじ

東京・新宿にある都立高校の定時制
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。

読み書きに難を抱えて落ちこぼれた二十一歳の岳人。
子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。
起立性調節障害不登校になり、定時制に進学した佳純。
中学を出てすぐ東京で集団就職した七十代の長嶺。

「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、
理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、
学会で発表することを目標に、
「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。

『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、
今年一番熱い青春科学小説!

 

②手に取った経緯

好きな作家、伊与原新さんの新刊が出るということで急いで購入。
まず驚いたのは帯。
帯には現役高校生から大学の名誉教授、書店員から作家さんなどびっしりと感想コメントが連ねてあった。
期待に胸を膨らませ読み始める。


③読んだ感想

科学部のメンバーの個々の能力を活かし、壊れることはあっても生徒たち同士で修復していく姿がとても良かった。
年齢や性別を超えた交流はまさに定時制の特権。
実験の様子は目の前で見ているかのように鮮明で、賞を取った時の感動も手に取るようにわかる。
特に第六章は先生が何故このメンバーを選んだかということが書かれていて読んでいて本当に楽しかった。

④お気に入りの一文

「先生は何かあきらめたことある?」と生徒から質問される教師。

「そりゃありますよ。ただしそれは、その時点での話です。そのとき選ばなかったものを、あとで選ぶことはできる。命ある限りは」

これはまさに定時制の在り方ではないかと思う。
その当時、さまざまな問題を抱え学校に通えず悩んだ者たちを、いつでも、どんな人でも受け入れようと学校はそこで待っていてくれる。
それに気づけた者に、未来を与えてくれる一文でした。